1. はじめに
最近、関東のふるよに界隈のごく一部で「CROSS×GEAR」(以下:クロスギア)というゲームが流行りました。(この記事を読んでる人は既に購入した人しかいないと思っていますが、一応公式HPを貼っておきます)
ゲーム性については丁寧に言語化された記事が既にあるので、この記事では言及しません。(余談ですが、私はこの記事を読んでクロスギアを購入しました)
実は、かなり前から購入はしていたのですが、「二人用ゲームを立てるなら、別にふるよにで良くね?」という部分もあり、棚に保管されたままの状態が続いていました。ですが、2024年8月ごろ、10月末に賞金制大会が開かれることを知りました。ふるよに以外の二人用ゲームをほとんど遊んだことがないのに私は色々と舐め腐っていたので、2ヶ月ちょいあればギリギリ間に合うと思いました。そこから、一緒に検討してくれる相手を賞金制大会を餌に探すことにしました。
ふるよにとクロスギアですが、
・2人用ゲーム
・カードの種類が少なく、再現性が比較的高い
・終盤のリーサルの読み合いがシビア
という部分で千葉県民ミコト(ふるよにプレイヤー)にもウケが良いだろうと思いました。そのため、上述の要素を全面に出してふるよに会に持ち込んで布教したところ、私の周りで6~7人ぐらいは購入するぐらいにはハマってもらえました。これぐらいのタイミングで「ふるよにクロスギア部」を設立します。
その後、トップメタが何なのか把握するべく8月の公認大会に参加し、以降も部内で知見を共有しながら検討を重ねました。その結果、何やかんやあってシャルロット×カノンという組み合わせがメタに合っているのではないか、という話になりました。賞金制大会直前の公認大会では秘匿するか一瞬悩みましたが、我々はどちらかといえば下剋上する側である以上、大会環境での経験を積むべく秘匿せずに持ち込みます。
そして、そのまま優勝してしまいました。
今日のクロスギア大会で優勝してきました!(予選⭕️⭕️❌オポ1位→決勝トナメ⭕️⭕️)
— Zico (@Zico_furuyoni) 2024年10月13日
一緒に遊んでくださった会場の皆さまと、練習に付き合ってくれたミコト達に圧倒的感謝……‼️ https://t.co/YptcnyGLF5
ただ、このときの黒星は完全ミラーマッチによるもので、何なら決勝戦も完全ミラーマッチでした。そのため、我々が秘匿しようが実際には世間に強さがバレるのは不可避だったと思います。
そして、賞金制大会では部員4人が全員カノン×シャルロットで参加し、結論から言えば誰もベスト4には上がれませんでした。私は×◯◯◯の3-1で、結果だけ見ると善戦したように見えますが、初戦で敗北したために白星のお相手は全員2敗以上で、オボネントは絶望的だったと思います。
ここまで前置きが長くなってしまいましたが、それなりに検討した組み合わせなので、せっかくだし知見を放出したいと思います。最後まで読んでもらえると嬉しいです。
2. 強み
2-1. 勝ち筋が明確
シャルロット×カノンの典型的な勝ち筋は、カノン②のアンブロ効果をシャルロット③に付与して、【攻撃時】GEARLINK①から複数回相手の顔面を殴ることです。
これだけ聞いてもよくわからないと思うので、補足説明用に公式Discord鯖からの引用を載せておきます。
Q1
【カノン②才幹の凌駕】で【シャルロット③確固たる意志】に「このターン、このアーツは相手のアーツにブロックされない」を付与しました。この状態で【シャルロット③】のギアリンクを使用した場合、どのような処理になりますか?
A.
【確固たる意志】のGEARLINK効果により、対象にした相手のアーツ1つをアップ状態にし、その後、【確固たる意志】はアップし、あなたは2点のライフを回復します。そして、相手のアーツのブロックに対して、【確固たる意志】はブロックされない処理となります。
出典:CROSSGEARルール質問掲示板(2023.12.11 16:21投稿)
例えば、シャルロット(2枚DRIVE)を予め場に立てておけば、「カノン②(シャルロット③にアンブロ付与)→シャルロット③攻撃(【攻撃時】GEARLINK①)×2回→シャルロット③攻撃」で8GEAR から21点リーサルです。
一応、カノン③にアンブロを付与してシャルロット①の【撤退時】GEARLINK①でアンタップして複数回顔を殴るリーサルも取れますが、シャルロット①登場→撤退→【撤退時】GEARLINK①と3GEARを要求するので燃費が悪く、あくまでサブルートになります。(サブルートからもリーサルを取れるように、予め上述のコンボで相手のライフを12程度、まで落とせると後が楽です)
2-2. 負けない盤面作りが得意
このゲームの負け筋は大きく分けて二つあります。一つは壁を全除去して攻撃をライフに通された場合で、もう一つは壁を無視してアーツの効果でライフダメージを受けた場合です。
カノンは、前者に対してはカノン③によって高パワーの壁を立てやすいので耐性がありますが、後者に対してはライフ回復手段を持たないことから脆弱性があります。これに対して、シャルロットを相方に添えることでシャルロット②やシャルロット③による回復手段を持つことが出来、後者に対しても耐性を持つことが出来ます。
また、先述したリーサルをケアするために相手は必死でシャルロット③を除去する必要があるので、必然的にアーツの効果ダメージが盤面(シャルロット③)に吸われます。これにより、普段シャルロットを使っているときよりもライフの減りづらく、間接的ですが防御力に寄与しています。
3. 各カードの役割
シャルロット×カノン特有の話を中心に、各カードの解説をします。
※各キャラ単体におけるカードの話は、先行文献があるのでここでは割愛します。
3-1. シャルロット①
終盤のカノン③アップによるリーサル寄与が、シャルロット×カノンにおける主な役割です。【撤退時】GEARLINK①がアリシア①を絡めたリーサルや、アリシア②の全体ダウンからのリカバリーに対して優秀で、カノンが抱えるアリシアへの脆弱性をフォローしてくれます。
細かい使い方としては、カノン③で攻撃してから【DRIVE】効果でこのカードを退場させると、相手の盤面を除去しながら【撤退時】GEARLINK①でカノン③を起こせます。また、カノン①の【攻撃時】GEARLINK①を使用するとこのカードで底に送ったカードをリセットできます。
基本的に出し得なカードではありますが、相手が殴らないタイプのデッキだと場を埋めてしまい、リーサルを取りたい場面で撤退に行動権を多く費やすことになります。特に、シャルロット×カノンはカノン②がリーサルに絡むため、場はなるべく空いている方が都合がいいです。一応、DRIVEして場を埋めずに山札を引く、という選択肢を常に考えるべきです。
3-2. シャルロット②
シャルロット×カノンとして特別なシナジーがあるわけではありません。一応、横にカノン①を立てながら攻撃すると、攻撃時にライフを1点多く取れたり、ブロックしてきた相手のアーツも破壊できたりと、少し有り難い場面があります。
3-3. シャルロット③
この組み合わせのメインパーツです。理想はこのアーツをパワー7以上で立てて、次の自分のターンにカノン②でアンブロ付与して殴ることです。相手の盤面から行動権を計算して、相手がこのアーツを除去できるか、あるいはどの程度の無茶を強要できるかを意識しましょう。
カノン①のバフがシャルロットミラーで特に偉く、シャルロット③のぶつけ合いでマウントを取りやすいです。また、基本的に弱い行動ですが、カノン②でパワー+3を付与すると除去できるラインが一気に高くなります。
防御的な使い方をする場合は、カノン③の方がDRIVEせずに高いパワーを発揮できる分燃費がいいです。そのため、こちらを使う場面では攻撃的な立ち回りを意識したほうが、シャルロット×カノンとしては強いと思います。
3-4. カノン①
シャルロット③が自身のパワーを参照して盤面を除去するので、シナジーは比較的あります。ですが、相手の盤面除去の計算を崩せる場面以外では、手札制限で捨てる方が、行動権を消費せずに捨札に送れるので強いです。
終盤はカノン②のアンブロ付与やシャルロット①のアンタップなど、リーサルを取るために行動権を使う必要があり、中盤はリーサルを取られないように壁を立てるために行動権を消費することになるので、序盤(目安としては5ギア以下)の内に可能な限り捨札に送るようにしましょう。
3-5. カノン②
シャルロット×カノンでリーサルを取る際にほぼ必須となるカードです。シャルロット×カノンはライフを詰めるためにGEARLINKを使う必要がある組み合わせなので、序盤にギア加速のためにGEARLINK②を使うと終盤息切れしやすいです。
中盤(体感的に6~8ギアぐらい)にアンブロ付与から相手のライフを10点程度削って、終盤にカノン③かシャルロット③かどちらを使ってもリーサルが狙える状態にするのが理想です。
3-6. カノン③
シャルロット×カノンにおけるサブ打点です。相手が舐めて壁を2体以下でターンを返してきた場合には、「カノン③攻撃→カノン③DRIVEでシャルロット①退場→【撤退時】GEARLINK①でアップして攻撃」と動いて4ギアから(4+n)点のライフを取りに行くことがあります。(カノン③を2枚横並べするのも悪くはありませんが、ダウン状態のアーツが2体並ぶので返しの防御力が低く、場が埋まるのでリーサル時に撤退で余計な行動権を消費する流れを招きやすいです)
また、シャルロット×カノンは、ライフを詰めるためにGEARLINKが必要(≒GEARLINKが切れるとライフを削る手段に乏しい)な点や、相手にリーサルケアでGEARLINKを強要しがちな点から、お互いがGEARLINKを使い果たした状態を引き起こしやすいです。大会の場合は、実際にそうなるとライブラリアウトを狙うことになりますが、このアーツはDRIVEなしで高いアーツを出せるので山札が減りづらく、盤面と山札枚数の両方で相手に圧をかけられます。
4. 各対面の相性
最後に、各キャラに対するシャルロット×カノンの方針を簡単に説明します。
4-1. アリア
カノンのおかげでパワー3や4の壁を立てやすく、序盤のアリア②やアリア③に対して強く動けます。しかし、こちらのシャルロット③をDRIVEする動きに対しては、アリア①のDRIVE時効果で上手く対処される場合が多いです。したがって、シャルロット③+アンブロ付与で一気に削るのは上手くいかない事が多いです。
ただし、アリアはライフ回復手段を持ちません。方針としては、中盤に1回顔を殴ってライフを削っておき、10ギア溜まったぐらいのタイミングでカノン②から残りのライフを一気に削るつもりで動きます。
序盤はカノン①とカノン③を使って、アリア③でライフを取られない盤面作りを意識します。そして、狙えそうな場面ではカノン③のDRIVE効果などで盤面をこじあけて、ライフを取りにいきます。このとき、シャルロット①と1GEARLを残しておくと、チャンプから【撤退時】GEARLINK①で攻撃に使ったカノン③を相手のターン中にアップできるので隙が生まれにくいです。
4-2. シャルロット
相手のシャルロット③を盤面除去に「使わせる」意識が重要です。お互いに回復手段を持つのでGEARLINKが枯れるゲーム展開にはなりやすいですが、こちらはカノン③でも壁を立てられる分殴り合いでは優位を取りやすいです。
また、シャルロットミラーではお互いにシャルロット②を警戒して殴らないゲームになりがちですが、そうなると場に残ったシャルロット①の扱いに困りがちです。そのような場面において、こちらはカノン③のDRIVEで上手くさばける分きれいに動きやすいです。
4-3. リーリア
相手の練度に左右されます。適切にリーリア①の回復を使われると、こちらはリーリア③の盤面除去ケアで場を埋める都合から高いリーサルを出しづらく、膠着状態に陥りがちです。
基本的には、盤面除去にリーリア②やリーリア③を「使わないといけない」盤面作りを意識して、自傷でライフを減らしてもらえるように動きます。このとき、シャルロット②をカノン①でバフしながら攻撃できると、相手のライフを1点多く詰めながら、返しのリーリア③の【攻撃時】効果をカノン①に吸わせられるので強いです。
また、道中でシャルロット③にアンブロを付与して、相手のライフを一気に削っておく動きも刺さります。これにより、リーリア②やリーリア③でリーサルを狙う際にライフ回復のための行動権の消費を強要して相手のリーサル火力を落とせますし、ついでに自分のライフも回復できるのでリーリア②の【撤退時】効果が顔に飛んできても耐えやすくなります。
4-4. カノン
お互いにカノン①を捨札に送り合うスローテンポなゲームになりがちですが、
・カノン単体ではライフ回復手段を持たない
・カノン②のアンブロを付与する際にカノン③よりもシャルロット③の方がGEARあたりのダメージ効率が高い
・こちらは攻撃してきたカノン③を返しにシャルロット②で除去する権利がある
といった点から、盤面でもライフでも主導権を握りやすいです。
相手の除去が大味(カノン③DRIVEによる4点刻み)になりやすいので、カノン③をパワー5以上で立てたり、シャルロット③をパワー9以上で立てることを意識すると盤面でもマウントを取りやすいです。(逆に、中途半端な壁の立て方をすると一方的に盤面を取られかねないので注意)
4-5. シャロン
相手の捨札が15枚になるまでに最低でもライフ10ぐらいまで落としておかないとしんどいです。ライフを削るのが間に合わなかった場合は、ライブラリアウトしか勝ち筋がないこともしばしばです。
捨札が15枚になるまでは相手が盤面に触る手段はシャロン②の【攻撃時】効果しかないので、パワー7以上のシャルロットを除去するのが難しいはずです。シャロンもライフ回復手段を持たないキャラではあるので、序盤にどれだけ相手のライフを削れるかにかかっています。
下手に相手のアーツを破壊すると捨札が増えてしまううえに、シャロン②の登場がスムーズになってしまうので、「ライフを削れないなら盤面を除去せず、一方的に退場させられる場合でもブロックしない」という意識が重要です。ただ、相手のシャロン②をブロックするかの判断だけは難しいです。基本的に、返しにシャルロット③を立てないなら返しに除去されないようにブロック(≒相手のシャロン②を破壊)して、それ以外ならブロックしない(≒相手に撤退を強要して、捨札を増やすペースを落とす)という判断で良いと思います。
4-6. ルシア
ルシア①がとにかく厄介で、ゲームがグダります。
・除外ケアで場のカノン①を撤退させる
・手札のシャルロット③をハンデスで抜かれる可能性を減らすためにカードを引く
・シャルロット③をハンデスされないように、敢えて場に出してDRIVEする
・トップからシャルロット③を引いてハンデスで抜かれるリスクを考慮して敢えて引かない
など、常にルシア①のケアを念頭に置いて最善手を打つ必要があります。
ただ、ルシアの主張(ルシア②をOVERDRIVEさせながら、瞬間的に大量のGEARを湧かす)に対しては、パワー5以上のカノン③を立てておくだけで、相手のリーサル火力を落とせるはずです。(もちろん、ルシアの横の盤面除去能力によって要求される壁の質は変わります)
また、ルシア単体だとカノン③を突破するのが大変だと思うので、ライブラリアウトも勝ち筋の一つです。ルシアはDRIVE回数が多く、ルシア②を引くためのドロー回数も多いので山札の減りが速いです。常に相手より山札が多い状態をキープして、「そっちが動かないなら俺の勝ちだが?」という顔ができるように意識して動きましょう。(個人的には、シャルロット×ルシア対面とかなら5~6ギア残して手番を返すのも全然アリだと思っています)
4-7. アイラ
アイラ③の【登場時】GEARLINK④があるので、シャルロット③は小出しに重ねる意識が重要だと思います。理想は、アイラ③の【登場時】GEARLINK④を使わせた返しに、カノン③DRIVEでアイラ③を除去して攻撃をライフに通すゲーム展開です。(これを通すためにも、なるべくアイラ対面では盤面を除去しようとせず、アイラ③を登場させる前に撤退を強要できるような盤面を作りたいです)
ゲーム序盤は、アイラ②のSPIKEに対するケアを重点的に考えます。可能な限りカノン①でバフしたアーツでブロックすることでライフダメージを軽減し、返しにシャルロット②で除去を心がけましょう。
アイラ自体はライフ回復手段を持たないので、リーサルのプラン自体は立てやすいと思います。アーツも場持ちの悪さも考慮して、2ショットを狙う意識で動きます。
4-8. アリシア
シャルロット①の【撤退時】GEARLINK①を上手く扱えるかが勝負のカギです。手札に1枚抱えておくと、終盤の折衝で安心感があると思います。
理想のゲーム展開は、こちらのシャルロット③の除去にアリシア②を使わせることです。アリシア②を盤面に吸わせるほど、ライフに飛んでくる効果ダメージが減るので、相手のリーサルのケアが容易になります。
アリシア③が壁として優秀なのでアンチブロック以外でライフにダメージを通すのが難しいですが、相手もカノン③+シャルロット①の盤面を突破してダメージを稼ぐのは難しいはずです。(カノン単体に対してはアリシア①でダウンさせれば問題なく攻撃できるが、横にシャルロット①がいるとチャンプから【撤退時】GEARLINK①でカノン③がアップするので攻撃がライフに通らない)
アリシアはアリシア②による手札消費が激しく、他のキャラクターよりアクセラレーションの回数が多くなりやすいです。中盤にシャルロット③+アンチブロックで相手のライフを詰めながら回復して、
・アンブロ付与からのリーサルをケアするための回復
・相手のライフを削る(≒アリシア②を引き込む)ためのドロー
・ライブラリアウトのケア
という排反のケアを相手に押し付けて、任意の勝ち筋を後出しで選べる状況が理想です。
5. おわりに
記事は以上になります。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
シャルロット×カノンは全てのキャラに対して抗う術があり、カードゲーマー的に言えば非常に「丸い」組み合わせだと思っています。相手に合わせて適切なケアを取る必要があって、対話をしている感じが使っていてすごく楽しいです。
この記事を読んで、一人でも多くの人がシャルロット×カノンを使ってもらえたら嬉しいです。ただ、ミラーマッチはしたくないので私の前では使わないでもらえると助かります。次の拡張も出るらしい(賞金制大会で告知があった)ので、楽しみにしています!